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絹、レーヨン、キュプラの三種類の繊維の特徴

こんにちは、新潟県の衣類修整のプロ集団、山田修整です。

 

わたしたち山田修整有限会社は、繊維の産地だった長岡市(旧栃尾市)で創業して57年。織物・ニット商品の製造工程に関連するトラブルに対処して商品を活かすことに日々全力を尽くしています。「修整」は、そのままでは納品不可とされる「B品」をなんとか活かそうとする仕事です。

 

【これまでの修整豆知識】

・繊維の種類(こちらをクリック

・綿、麻、毛の三種類の繊維の特徴(こちらをクリック

 

今回は、絹、レーヨン、キュプラの三種類の繊維の特徴について、詳しく解説していきます。

「それぞれの繊維にどのような特徴があるのか」ぜひチェックしてみてください。

衣類修整の専門集団 山田修整有限会社
絹、レーヨン、キュプラの三種類の繊維には、それぞれ特徴があります

絹、レーヨン、キュプラの三種類の繊維の特徴

絹(シルク)

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絹(シルク)の特徴を理解しよう

<特徴>

・光沢のきれいな絹鳴りのする優雅な繊維

その秘密はセリシンとフィブロインと断面形状

・1マユ800~1600mもある天然繊維の中では唯一の長繊維(フィラメント繊維)

・のっぺりとした三角断面の繊維

・水洗いするときは中性洗剤を使う(塩素系漂白剤は使えない)

<メリット>

・上質でなめらかな肌触り

・吸湿性、放湿性に優れている

・静電気が起きにくい

・染色性がよく色がきれい

・ヤング率が大きく、張り腰がある

・燃えにくい

 

<デメリット>

・繊維が裂けて毛羽立ち、白っぽくなりやすい(フィブリル化)

・水ジミがでやすい

・色落ちしやすい

・カビやすい


シルクとは、蚕(カイコ)の繭から取れる天然繊維のことをいいます。天然繊維には、コットン・リネンなどの「植物繊維」と、ウールなどの「動物繊維」、石綿などの「鉱物繊維」の3種類があり、シルクは動物繊維のひとつになります。シルクは、約20種類のアミノ酸が結合した繊維で、主成分は人の皮膚と同じ「タンパク質」です。そのため、とても肌馴染みが良く、吸湿性・放湿性などの機能性にも優れています。また、シルクは天然繊維で唯一の「フィラメント繊維」と呼ばれる長繊維のため、上品な光沢があり、なめらかでシワになりにくい素材になっています。

 

シルクはとてもデリケートなので、摩擦はもちろん、水にもあまり強い素材ではありません。お手入れの際には、まずは品質表記を確認しましょう。また、手洗い表記の場合でも、大切なアイテムはクリーニング店に出すのがおすすめです。

レーヨン

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レーヨンの特徴を理解しよう

<特徴>

・人にやさしいソフトな繊維

その秘密は原料(パルプ)と吸収率とヤング率

・スジのたくさんあるギザギザ断面の繊維

・長繊維を人絹、短繊維をスフともいう

 

<メリット>

・染色性がよく色がきれい

・シルクのような光沢感がある

・肌触りがサラッとしていて、清涼感がある

・消臭効果が高い

 

<デメリット>

・濡れると極端に弱くなる(50%弱)

・濡れるとクタクタになりやすい

・濡れると縮みやすい

・水ジミができやすい

・燃えやすい

・摩擦に弱い

・シワになりやすい


レーヨンは木材パルプを原料として人工的に作られた化学繊維です。

天然に存在する植物原料(セルロース)を原料とし、化学的な繊維として再生させる「再生繊維」と呼ばれる繊維のひとつにレーヨンが存在しています。

レーヨンは初めて作られた人工繊維ですが、木材が原料なので、土に埋めると分解され消滅するという特徴があります。人工繊維と聞くと肌に悪いというイメージがあるかもしれませんが、レーヨンは天然素材を使用しているので吸湿性に優れていたり、肌触りが良いのです。

 

レーヨンの語源は “光 “を意味する言葉からきていて、その光沢感から日本では“人工絹糸”とも呼ばれます。シルクのような光沢感と肌触りを持ち、シルクより安価なレーヨンはシルクの代用としてよく使用されています。

 

 

レーヨンは扱いが難しい生地ではありますが、見た目や質感が美しい生地でもあります。丁寧に扱うことで、長い期間愛用できるお気に入りの衣類となるかもしれまんせん。

キュプラ

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キュプラの特徴を理解しよう

<特徴>

・光沢のある人にやさしいなめらかな繊維

その秘密は原料(コットンリンター)と吸収率と断面形状

・のっぺりとした円形断面の繊維

・婦人服の裏地に多く用いられている

 

<メリット>

・繊維が細くてきれいなシルエットがだせる

・やわらかくしなやかで、ドレープ感がだせる

・静電気が起きにくい

・吸湿性、放湿性がある

 

<デメリット>

・濡れると弱くなる

・濡れると縮みやすい

・燃えやすい

・摩擦に弱い


キュプラとは、レーヨンと同じく、天然素材を原料とする再生繊維のひとつです。 正式には「銅アンモニアレーヨン」という名称です。 キュプラの原料には、綿の種(コットンシード)に付いた産毛部分の「コットンリンター」が使われています。綿花の短い繊維で、本来繊維としては使われない産毛部分を使うので驚きですね。

 

そのコットンリンターから採った原料(本来繊維としては使われないうぶ毛部分)を、酸化銅アンモニア溶液に溶かし、ギャーポンプを使って凝固液の中に押し出す製法によって作られています。

これを「銅アンモニア法」と言うので、この製法で作られた生地が「銅」という意味の「キュプラ」と名付けられました。

 

吸放湿性に優れ、一般的なレーヨンに比べ、耐久力や耐摩耗性などに優れている一方、天然素材であるため、土に埋めると短期で自然分解されます。

ちなみに、キュプラはレーヨンとよく似た風合いを持つ生地なのですが、レーヨンの原料は木材パルプなので原料は全く別物です。

今回は、絹、レーヨン、キュプラの三種類の繊維の特徴についてご紹介しました。

まだまだ繊維の種類はたくさんあります。ぜひ次回の修整豆知識もチェックしてみてください!