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組織における幹部の責任

新潟県長岡市 アパレル衣類修整のプロ集団 山田修整有限会社
「幹部」の共同責任

新潟県長岡市のアパレル衣類修整のプロ集団、山田修整有限会社社長の吉田です。「衣料品修整」=納品トラブル解決をサポートする経営者の立場から考えることを中心に書き留めています。

 

 ジャニーズ事務所の性的被害問題とビッグモーターの不正問題は、ともにカリスマ性のあるリーダーが組織を牛耳り、権力を濫用して社会的なルールや倫理を無視した行為を繰り返したという点で共通していますが、忘れてならないのは「フォロワー」がいなければ成立しないという点です。「支配と依存」という観点からは、「トップの責任」だけでなく、「幹部の責任」についても検討しなければならないと思います。

 

その前に、日本という国の特徴について軽く触れておきますね。

 

1)「支配と依存」を生み出しやすい日本の土壌

  心理学的には、日本人は集団主義や権威主義の傾向が強いと言われています。これは、自分の意見や感情を抑えて、集団の規範や権威の命令に従うことを重視するということです。また、日本人は不安定回避の度合いが高いと言われています。これは、不確実な状況や変化に対して、恐怖や不安を感じやすいということです。 

 

  社会学的には、日本社会は高コンテキストの文化であると言われています。これは、言葉だけではなく、非言語的な要素や状況によって、意味や情報が伝達されるということです。また、日本社会は垂直的な階層制であると言われています。これは、社会的な地位や役割によって、人々の関係が上下に分かれるということです。

 

     これらの特徴が日本文化の土壌としてあるということは、暗示や洗脳にかかりやすい性質や、カリスマ性のあるリーダーに対して異議を唱えにくい性質が決して他人事ではないということです。

 

  ちなみに、ビッグモーター問題については、損保ジャパンも社長が引責辞任する事態に発展しています。また、関連する問題としては、コロナウィルスや世界情勢の不安定化に伴う社会不安の増大ともリンクして、オレオレ詐欺や投資詐欺などの特殊詐欺被害の件数や被害額は、近年増加傾向にあります。

 

2)「知らなかった」では済まされない幹部の共同責任

  会社組織における幹部の職務職責とは、会社の経営方針や戦略を立案し、実行し、評価することです。会社の規模や状況によっては、名ばかりの役職ということもあり得ますが、それにしても、いったん不祥事などが起こってしまえば、対外的に「知らなかった」では済まされないのは明白です。

 

  また、創業者が強いリーダーシップを発揮したからこそ今日があるという側面もあるので、カリスマ性そのものを否定するのではなく、それを支える幹部層のリーダーシップの質が組織の明暗を分ける一つの大きなポイントです。

 

   私見としては、ジャニーズ事務所にしてもビッグモーターにしても、カリスマ性のあるリーダーの行き過ぎを止めることのできない組織体制を維持してきたという点で、幹部層も共同責任ですし、組織全体が病んでいたと考えるならば、今後再出発を図るにはいったん現組織体制を解体する覚悟がなければ根本的に変わることは難しいと感じます。