新潟県長岡市の衣類修整のプロ集団、山田修整有限会社社長の吉田です。「衣料品修整」=納品トラブル解決をサポートする経営者の立場から考えることを中心に書き留めています。
今日は「直る直らない」についての「現場あるある」についてお話ししたいと思います。
現場から「これは直りません」という声があがることがあります。そこでわたしがすることは、まず商品のあるところに行って商品を見ながら現場の話を聞き、入荷伝票記載の依頼主からの依頼内容やコメントを再度確認し、あらためて商品を見て自分のゴールイメージを描きます。それから、依頼主に連絡して状況を伝えた上で善後策を検討します。
ゴールイメージには2つの意味があります。ひとつはお預かりした商品そのものの仕上がりイメージ。もうひとつは、依頼主がわたしたちの修整結果によって、その先のお客様とどのようなやりとりをすることになるだろうか?というイメージです。
修整の場合、BtoCの「お直し」とは異なり、「きれいに直るかどうか」と「依頼主がお金を払って修整する価値があるとするかどうか」は必ずしもイコールではありません。依頼主の先に納品先の担当者がいますし、その商品が単体ではなくセット売りという場合もあります。そもそも納品トラブルなので、信用問題にも関わることが大半です。そうなると、たとえ直りが思わしくなくても何もしないわけにはいかなかったり、作業ベストで精一杯対応しなければならない状況が生じたりします。
しかし、修整の現場では商品の背後にある事情がいつもわかっているわけではないので、現場は基本的にこんな風に考える傾向があります。
「きれいに直る」=「修整の価値がある」逆に言うと、
「きれいに直らない」=「修整の価値がない」
もちろん、きれいに直るに越したことはありませんし、きれいに直っていないのに「いいよ」と言われても気持ち悪いという感覚もごく自然なものだと思います。
それでも、「依頼主より先にあきらめないことが大切」だとわたしは考えます。
なぜなら、アパレル救急病院が「できません」と言ったら、その商品の生命が終わってしまうだけでなく、せっかくこの商品を世に送り出そうとしたつくり手の想いも無になってしまうから・・・
「物理的に直りが思わしくないとしても、すぐに修整不能と決めつけず、依頼主の置かれている状況や意向を確認してから最終判断すること」を心掛けています。